その数年後、「韓国に料理留学がしたい」という夢を抱いて渡韓し、1年間語学学校に通いながら、韓国家庭料理の基礎を学びました。
3年前に帰国してからは、1年に1〜2回韓国を訪れ、市場でご飯を食べることを楽しみにしています。
1905年に国内初の市場として誕生し、伝統衣装などの衣料品から寝具、青果まで何でもそろう広蔵市場。食の屋台もずらりと並び、いつ行っても大勢の人で賑わっています。
名物はいろいろありますが、初めて訪れた時にそのおいしさに驚いたのが「ポリパッ」。麦飯にいくつもの野菜(写真上)を混ぜ込んで食べる「麦飯ビビンバ」です。
混ぜるとこうなります。野菜たっぷり!
市場で他にもたくさん食べたかったので、友人と2人で1人前のビビンバを頼んだら、案の定、屋台のアジュンマ(おばさん)が不機嫌になりました。
「あんたたち、もっと食べなさいよ」と言いたげな顔。「水ばっかり飲んで」と小声で嫌味も言われちゃいました。でも、そんなことにひるんではいけません。
こういうアジュンマはよくいます。もりもりたくさん食べる人が好きなのです(儲かるしね)。韓国で屋台のアジュンマに好かれるコツは「おいしそうにたくさん食べること」です、たぶん。
もう一つ、この市場に来たら絶対に食べて帰るもの。それは「ピンデトッ」という緑豆チヂミ。
水でふやかした緑豆を挽いて粉にし、肉や野菜を混ぜてたっぷりの油で揚げるように焼いた一品。外はカリッと、中はふっくらジューシーで、マッコリと一緒に味わうと最高なんです。
この市場では「スンデ」という料理が食べられる屋台もたくさん見られます。これは豚の腸にもち米や春雨などを入れた韓国式ソーセージのこと。
見た目がグロテスクで今まで避けていたんですが、スンデ好きの友人のおかげで今回初めて挑戦する勇気がわき「スンデクッ(スンデスープ)」を食べてみました。
豚骨スープの中に、豚肉やスンデがたっぷり。臭み消しの効果があるのか、エゴマの粉(エゴマ油の搾りかす)をたっぷり入れて味わうと、スープのコクが深まり、スプーンを持つ手が止まらなくなりました。
「밥 먹었어(ご飯食べた)?」というあいさつが、日々自然に交わされている韓国。朝から市場や食堂でもりもり食べる人たちを見ていると、食べることを本当に大事にしている国だと感じずにはいられません。
なんだか市場レポートというより、食レポになってしまいましたが、もう一つソウルで一押しの市場があるので、後日ご紹介したいと思います。アンニョン!